CKD・透析 計算ツール

CKDについて


慢性腎臓病(CKD)について
− CKDの重要性 −

1.慢性腎臓病(CKD)とは
 CKDとは(Chronic Kidney Disease)の頭文字で、慢性腎臓病を指します。
欧米では数年前からCKD対策がとられていますが、日本では2006年「日本慢性腎臓病対策協議会」が設立され、本格的なCKD対策に取り組むこととなりました。
 現在、CKD(慢性腎臓病)患者は全世界で約5億人。人工透析患者の急増なども背景に、慢性腎臓病の発症、悪化予防が世界的な課題となっています。

 CKDの定義 と 重症度分類(ステージ)は国際分類があります。(下図参照)
 CKDの定義は、IgA腎症、糖尿病性腎症、腎硬化症など原疾患に関わらず、尿たんぱくが出ているなどの腎疾患の存在を示す所見がある または 中等度以上の腎機能低下(GFR<60) のいずれかが3ケ月以上持続する場合にCKDとされます。

 重症度分類については2012年に改定され(下図参照)、原疾患,尿蛋白区分,GFR区分(糸球体ろ過量)で判断 されるようになりました。色分けによって重症度が分かりやすく分類されており、患者と医療者がCKDの状態について共通認識を持つことに意味があります。

 それぞれの重症度区分によって治療が可能であり、治療することで悪化させないことができるのです。

 性別,年齢,血清クレアチニン値から、推算糸球体濾過量(eGFR)を計算できます。
 CKDという定義が、尿蛋白が出ている または eGFRの値によって決まりますので、尿検査 と 血清クレアチニンを測るのは最も基本となります。

2.CKDは新たな国民病
 日本の透析患者数は2011年末で30万人で 毎年約1万人増加しています。

 その背後には、 GFR推算式をもとに、健診データなどから疫学的に推測される現在の日本人のCKD患者数は約1,330万人と推計される。成人の8人に1人はCKDであることを示し 、慢性腎臓病予備軍も含めると2,000万人にもなるとされています。つまり、CKDは「新たな国民病 」といわれるようになっています。

 この1,330万人以上の人がそれぞれの進行過程に合った、適切な治療をきちんと行えば、透析になったり、心疾患で亡くなったりする人の数を大幅に減らすことが可能と考えられています。

3.尿たんぱくの重要性 (おしっこ元気ですか?)
 尿に「たんぱく」が出ている陽性の人は、出ていない陰性の人の2倍以上のスピードで腎機能が低下することがわかっています。

 尿たんぱくの有無を、職場の健診や住民健診で簡単な試験紙を用いて調べることが重要な意味を持ちます。 早期発見のための重要性の認識です。

 尿たんぱくがたくさん出ている人ほど、腎機能の予後が悪く、とくに試験紙法で尿たんぱく(2+)以上の陽性は、特に注意が必要であることもわかっています。

 健診などで「尿たんぱく陽性」と指摘されても、自覚症状がないために、ついつい放っておく人が圧倒的に多いのが現実です。
 陽性と指摘されたうち、再検査を受けた人は約半数にとどまっていることが、日本慢性腎臓病対策協議会の調査で分かり、腎臓病に対する意識の低さが浮き彫り となっています。

4.慢性腎臓病(CKD)は治療ができる
 検査で陽性と出る前後から透析まで、腎症はいくつか段階があり、症状と治療のポイントが違い、進行に応じて適切な治療ができます。
「腎臓病は生活習慣を改善すれば予防・改善できる」、「医療機関で検査を受け早期発見・治療すれば、進行を抑えられる」のです。

 健診で得た情報を上手に生活へ組み込み、CKDを引き起こす可能性の高い糖尿病や高血圧の早期発見と早期治療が強く望まれます。

 糖尿病、高血圧、脂質異常症(高脂血症)、MetS(メタボリックシンドローム)、尿路の病気、膠原病、肝炎、肥満、家族に慢性腎臓病の人がいる、 喫煙者、60歳以上、消炎鎮痛剤を常用する等に該当する方は、特にCKDの注意が必要で、半年に1度は尿の検査を受けましょう。

 特に、糖尿病のある人では、たんぱく尿が増加する頃には、かなり進行していることがあります。そこで、糖尿病の方は尿中のアルブミンを調べる「アルブミン尿検査」を受けましょう。腎臓の障害をより早期に発見することができるので、腎機能の低下を防ぐために役立ちます。

5.CKDと合併症との関係
 慢性腎臓病にて、長い時間を経て徐々に腎機能が低下した場合、透析導入になる前に、心血管疾患(心筋梗塞や脳卒中)などの重大な合併症を起こすこともわかってきました。
 CKDは心血管疾患の独立した危険因子(心腎連関)のため、「CKDは健康への脅威」と捉えられています。
※ 生活習慣病に関連する すべての疾患は、腎臓病に関係があります。

● 腎臓病の進行は抑えられる
 腎臓病を予防するために、生活習慣の改善が重要となる。減塩や健康的な食事、たばこを吸っている人は禁煙に努めること、糖尿病や高血圧のある人は医療機関を受診して、きちんと検査と治療をすることが大切。  腎機能が低下している場合には病態に応じた たんぱく質制限が必要とな ります。

● 糖尿病 と 高血圧の治療をしっかり行う
 腎不全となり透析療法が必要となる原因の4割と第1位は糖尿病。
 CKDを治療し腎不全や透析療法への進行を防ぐために、糖尿病や高血圧など原因となる病気の治療を行うことが重要です。そのために、食事療法や生活習慣の改善のほか、糖尿病の治療、高血圧の治療(ACE阻害薬(アンジオテンシン変換酵素阻害薬)やARB(アンジオテンシン受容体拮抗薬)などによる)、脂質異常症の治療などを行うことが必要となります。

◆ 血圧のコントロール と 減塩
 CKDの方は、血圧は130/80mmHg未満を目標にします。腎保護作用(臓器保護作用)のある降圧剤の種類であるARB、ACE-I が第一選択となりますが、基本は 生活習慣(減塩 1日6g未満、禁煙、減量、適度な運動など)にあります。

 日本で高血圧の方は約3,000万人いると言われています。国民3人に1人、50歳以上では2人に1人が高血圧と推定されています。これは他国と比較しても非常に高い比率です。
 一般的な日本人は1日平均11〜12gの塩分を取っているとされ、欧米の5〜6gと比較してかなり多く、日本人に高血圧が多いのは食生活が原因とも 言われています。
 WHO(世界保健機構関)の基準では、塩分は1日6g以下を目標にしており、日本でも高血圧患者、慢性腎臓病(CKD)患者では同様に6g(ガイドライン)未満を 推奨しています。

6.一般の方への啓発とCKD対策
 腎臓病が、一般的な病気で、かつ 重篤な状態にもなり得ますが、治療が可能であるということを広く一般の人々にも知っていただくことが大切です。

●社会に向けた啓発活動の推進
 腎臓専門医や医療従事者だけでなく、患者や家族、市民、企業、健保組合、行政、マスメディアなどに広く啓発することが重要になります。

●毎年3月第2木曜日を「世界腎臓デー」
 毎年3月第2木曜日を「世界腎臓デー」を定め、予防を啓発するキャンペーンが 、国際腎臓学会(ISN)と国際腎臓財団連合(IFKF)が発案し2006年より始めらました。

●健診・かかりつけ医と専門医の連携
 CKDは成人の1割と患者数が多いので、腎臓専門医だけで診ていくことはできません。 そのため、かかりつけ医と協力連携していくことが大切です。

●「CKDはプライマリケアのメーンターゲット」
 できるだけ早期にハイリスク患者を見つけ出すことが必要で、今後、腎機能低下、心血管事故、死亡、入院などのリスクが高いと評価された患者さんは 集中的に予防と治療を行い、透析導入や心血管事故を防ぐ必要があります。
 それ以外の患者さんは生活習慣の改善を指導しCKDの病期を進ませないようにしなければなりません。
 また、糖尿病、心血管疾患、脳卒中、Mets(メタボリックシンドローム)などのいわゆる生活習慣病であげられているリスクファクターとCKDのリスクファクターとでは共通するものが多いため、今後は各疾患単位ではなく、これらの疾患を包括的に捉えて予防し、治療することが必要になってきます。 「木を見て 森を見ず」にならないようにするべきです。

 日本腎臓学会から一般の開業医の先生向けに、CKDの治療に関する診療ガイドが示されています。

 この診療ガイドをもとに、腎臓専門医とかかりつけ医、糖尿病や循環器疾患の専門医との効率的な連携システムの構築が望まれます。

7.CKDの予防 ・ 治療
1.まず、第一に生活習慣の改善を行います。
 ・食塩摂取量は、6g / 日未満におさえます。
 ・肥満を解消しましょう。 適度な運動をしましょう。
 ・禁煙は必須です。
 ・病態に応じた たんぱく質制限を考慮します。
 ・血清尿酸値(7.0mg/dL以下)
 ・口腔ケア (歯周病は慢性炎症や生活習慣病と関連があります)

2.糖尿病は慢性腎臓病で最も大事な問題です。
 ・HbA1c 7.0%未満(NGSP値)を目標に、厳格な血糖コントロールが必要です。

3.血圧は130/80mmHg以下を目標です。(高齢者 140/90mmHg以下)
 ・降圧剤は腎保護作用(臓器保護作用)のあるRA系抑制薬が第一選択です。

4.脂質異常症の治療により、タンパク尿の減少と腎機能低下の抑制が期待されます。
 ・LDL-コレステロールは120mg/dL未満が目標です。

5.その他
 ・腎機能が低下すると薬の調整が必要になりますから,薬剤師さんにも相談しましょう
 ・鎮痛剤(非ステロイド抗炎症薬(NSAIDs))、造影剤、脱水などは腎機能低下のリスク
 ・過労を避け、規則正しい生活を送る。(残業や過度の仕事による疲れから腎臓機能低下に繋がることがあります。 ストレスを溜めない)
 ・感染症予防に努める(インフルエンザ・嘔吐・下痢などにより腎臓機能低下に繋がることがあります。) うがい、手洗いの励行と、予防接種を受けましょう.

8.おわりに
 一般市民も、医師も、行政も、CKDのことをもっとよく知って、MetS(メタボリックシンドローム)のように生活習慣の見直しや健康管理に役立てるようにすれば、末期腎不全や心疾患になる人を大幅に減らすことも夢ではないのです。
どうぞ皆さん CKDという言葉を ご自分のため、ご家族のために知ってください。

●CKD重症度分類 (2012)
重症度分類は原疾患,尿蛋白区分,GFR区分で(下図参照)
CKDの重症度分類

CKD 予防・治療
CKDの予防と治療

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